LAN工事入門編
3月 14日 @ 11:00 PM - 11:30 PM 講演者:oygeng
LAN工事の入門的な情報をスライドベースでご紹介いたします。 LAN工事ってなんぞや、という基本的なところを知っていただきます。
※ 青文字で追記しました(oygeng)
資料 URL
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LAN工事とは
LAN環境を構築するために行う工事。
- LAN配線工事(レイヤ0)
- レイヤ0とは社内での呼び名。OSI参照モデルでは1~7までです。
- 今回はにオフィスの話題について。(DCではない)
いつ工事って発生するの?
- オフィス新設
- 拡張:増設
- オフィス移転・終了:撤去(原状回復)
誰がやるの?
- NWエンジニア
- LAN工事業者
- その他の工事業者
LAN工事って誰がやってもいいの?
- OK、だが…
- 場合によりNG
- 500万以上の場合、建設業の許可必要
- 請け負えるのは、電気通信主任技師が常勤でいて、実務経験が5年以上かな・・・?
- ⇒建業法の範囲
大まかな計画
- フロア図面を元にネットワーク要件を決める
- 有線?無線?
- フロアの広さは?
- フロアに人数どれくらい?
- デスク・島・座席の位置は?
- パーティションは?素材は?スチール・石膏?High?Low?
配置を考える
- LANラック設置場所
- 設置したら変えられないので場所重要
- LANケーブル出す位置
- 部門によって必要数が違ったり
- なかなか決まらない
- LANケーブルのルート
- 弱電強電は分けよう
- 干渉を避けるため
- 電気工事業者と要調整
- 業者同士の話なのでもめることはあまりない
- 弱電強電は分けよう
終端方法
- RJ45オス出だす
- おすすめしない。割れたりとかするので。
- ローゼット終端
- おすすめ
- 素人でも方法を知っていれば作れる
- インナーコンセント/壁コン(RJ45メス)
配線図イメージ
- ケーブリングのイメージを書いて工事を進める
- 工事業者・LAN敷設担当が作成する
- 大きなビルの工事の場合、工期が詰まっていくのでリアルタイムで現場修正をしながらになったりする
いよいよ工事
- プランができたらいよいよ工事
- ビル等の工事では「工事区分」というものがある。
工事区分
- A工事
- ビルオーナーが行う。オーナーが費用負担。施工業者はオーナーがやる。EV/トイレ、壁面など建物自体の工事。
- 新規のビルの時以外は関わりはあまりない。
- B工事
- 入居者がオーナーに依頼して行う。費用負担は入居者。空調や電源設備など。
- ラック設置時に床に穴を開ける(アンカーボルト用の穴)ような作業、フロア菅野アナを明ける作業とかははこっち
- C工事
- 入居者が自分でやる。フロア内のLAN工事など。
- ラック設置とかはこちら
- 工事種別はビルによって違うことがあるので都度確認が必要。
工事区分(参考) LAN工事以外も含むよ!
- モール取り付け:C
ケーブルモールと呼ばれる、ケーブルを保護するカバーのもの。 - ラック配置:C
- 床下配線:C
ラックから防火区画の区切りまでの配線がC。 - フロア間(縦を含む)配線:B or C
ここはビル管理の状況によって違う。 - フロアへの引き込み用配管:B
フロア間(個別に区切った部屋や、階を隔てたフロアなど)の区分を分けるところ。セキュリティポイントでもあるので、 - ラックを固定するアンカーボルト穴あけ:B
フリーアクセス床のパネルや、床下に穴をあけるので、Bが多い。
デッキスラブ(プレート?)であってもビル管に確認することを推奨します。 - 区画貫通用配線:B
LAN工事よもやま話
フロア形状
- フリーアクセスフロアに2タイプある
- パネルタイプ
- 自由度が高い・高さ選べる。DCだとほぼこれ。
- パネルタイプの支柱、オフィスのだと弱いのがあって1年くらいでガタガタしてしまうものがある。(オフィスファシリティ担当の話だけど)
- 溝タイプ
- 自由度が低い・高さ低いが強度が高い
LANケーブルの通し方
- ケーブル通したいところのダシ口・入れ口までメジャーを伸ばして通す
- メジャー派とメッセンジャー派がある?
- 通線ワイヤーはPF管やCD管等、管路を通す時によく使うイメージです。
- メジャー派とメッセンジャー派がある?
- メジャーにケーブルをくくりつける
- メジャーを戻してケーブルを通す
配線方法(個人的推奨)
- ラックからフリアク経由で出す場合
- ローゼット転がし + ローゼット立ち上げがおすすめ
- レイアウト変更のときに、LANラック周りを変更する必要がなく、床下のローゼット部分操作で対応ができる
- メンテナンス性: 24P(UTP6本)予備残しておくとかしておくとある程度対応できる
- ローゼット: 情報コンセント, アウトレットとも
ケーブルの種類
- 単線
- かたい。丈夫なので幹線向け
- より線
- やわらかい。パッチコード向け
LAN規格について
- EIA/TIA-568
- 配線にAタイプ/Bタイプがある。(A/B結線)
- Bタイプが主流(だろう)
- TIA規格でフロア内規格がいろいろ定まっている。
- チャネルリンク100m以下
- ローゼットから機器間, ワークエリアサブシステムについても距離規格がある
- TSUKOニュースレターがLAN工事系の話し出していて参考になる
(オフィスの)天井
- 在来天井
- 天井ボードが固定されていて点検口からしか入れない。配線自由度が低い
- 耐荷重が高いので天井裏に配線しっぱなしにしておくことが許容されやすい(天井裏転がし)
- システム天井
- 新しいところはこれ。パネルがどこでも外せる。配線自由度が高い。
- 耐荷重があまりないので、APを天井に付ける場合は耐荷重確認が必要(ビル側と確認)。原則天井裏転がしはNG。
距離
- 10/100/1000BASE-T UTP は ~100m
- 1000Base-SX (opt/multi) ~550m
- 1000Base-LX (Opt/single) ~5km
工場LAN工事
- 工場はフリアクじゃないことが多いので配線ルートは制約を凄く受ける
- 大抵モール施工
- ルート取り重要
- 建屋間
- 管路確保重要!!
- すでに埋まっていたり、あのビルにはルートがない、みたいなことがある。
- 現地調査が非常に重要
- いまだに10Base-5 があるところもある
- 半分くらいの工場で現役…
- ハブが壊れたら終わり。見つけたら保護を。部材取っておくの重要。
10Base-5
- バス型イーサネット
- UTPではなく同軸ケーブル
- 減衰距離が500m : 昔良く幹線で使われていた
- ケーブルが黄色いのでイエローケーブルとも。
- バンパイアタップ : 針で同軸ケーブルにさして信号を取る。
- バス両端にターミネータがつく
- これが今良くあるNW図の元になったといわれているが真偽は定かではない
ケーブリングで意識すること
- ケーブルの流れ
- 流れが見えれば美しいし配線しやすい。
- 配線ポリシーを設計書に明記すること & 死守すること!
- ケーブルの流れを決めたらポリシーとしてちゃんと決めましょう
- 高密度スイッチとかが多くなって難しいけど
- 一度ポリシ崩されると後はずるずる崩れていく
- 崩れると全部やり直しくらいにしないと復活の兆しが見えない
おすすめリンク
- TSUKOニュースレター
更新が止まっているので、バックナンバーはこちら - LANケーブル配線ドットコム
http://www.lan-cabling.com/ - LAN工事ドットコム
参加者の声
(Discord 上の発言で、なにか取り上げたいものがありましたら記載お願いします)
- B工事→C工事の境で建築業者から施主様に所有権が移りますよ。
現地調査は?
- すっとばしていますが重要です!
ノイズ対策
- 強電/弱電を分けましょう話。ノイズによる通信品質低下とかはなかなか見つからない。
ローゼットについて
- NTTの場合ローゼットっていうと光の方になってしまう
- 情報コンセントとかアウトレットとか言う。
漏洩同軸ケーブルと無線LAN
- 無線LANはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing 直交周波数分割多重)だから、ドップラーに弱くてあんまり漏洩ケーブルと相性がよくなかったり。
Q & A
(Discord 上に質問が流れたらピックアップお願いします)
-
Q.ローゼット終端の敷設は、素人でもできるの?
- A.方法さえ知っていれば出来ます。
-
Q.「現調」って?
- A.現地調査の略。工事業界でよく使われる略語。
-
Q.「CD管」って何?
- A.壁の中に通ってるジャバラのプラスチックの配線を入れる管。Combined Ductの略で、耐燃性のない合成樹脂管のこと。
-
Q. 配線作業時の服装のおすすめは?
- 作業着
- 会社に作業着なかったら勝手にロゴ付き作業着発注してきていったことが
- 汚れてもいいならスーツでもいい
- 軍手
- 帯電防止スリッパあると便利
- 作業着
-
Q. 現調に持って行きたいアイテムは?
- メジャーとデジカメ
- 作業着
- ドライバ、ペンライト(懐中電灯)
-
Q. 「電気工事業者」という具体名は出てきましたが、関係者ってかステークホルダはと「だれとだれと…」と言ったら、どんな感じです?
- ファシリティ担当業者
- 会社側は総務部門のことが多い
- LAN工事はビル関連の話とは別になることが多い
- ビル(建物)の話はJV(ジョイントベンチャー)、その下でLAN工事業者が入る
-
Q.「あえて」ノイズ漏らすことで無線通信できるケーブルとか聞いたことあるんですけど、あれなんて言うんですか?
- 漏洩同軸ケーブル。ケーブルとしてではなくアンテナとして機能し、ケーブルの周囲に電波が発信される。
- 工場やトンネル内など電波が届きにくところに敷設される。
- LCXとは - IT用語辞典 Weblio辞書
- (コレが本当の無線LANケーブル?w)
-
Q. 工事する人たちと仲良くするコツとかありますか?
- 施主とかの関係の場合、工事のおっちゃんたちと話をしながらコーヒーをおごったりすると極端に仲良くなったりすることがある。(タバコやらないのでそういうケースが多い)
- 現場のつらさ(愚痴)を分け合う
-
Q.10Base5の話が出ていましたが「業務的に、そうでなければならない理由」があるんですか?
- 当時施工してから更新されていないというのが現実だと思っています。
- いま工場建設すると光ケーブルが主流になります。
-
Q.各ハブの選び方とかあります?増設を見越すとこういうのがいいとか
- A.ラック内はSEが選べばいいが。各島内に配置するのは、クロス・ストレートの自動判定をオフにできる機能のものを選定している。誤結線を検知できるようにしたほうがいいので。
-
Q. オフィスの中だけで光りファイバーを引くことはあるか?
- 経験ない
- よほどの環境じゃない限り必要ないだろう。10Gとか何かこだわりがあるのであれば?
- 小規模拠点はUTP/Cat6で充分
- 幹線や屋外配線であればSTPつかうかも
-
Q. ケーブルタグおすすめは?
- ナンバーチューブ派なので
-
Q.その技術者になられたのは「ナニをきっかけに」ですか?(なし崩しとか、なんとなくとか、でもかまいません
- もともとネットワークエンジニアからはいって、LAN工事に関わるようになっていった
-
Q. LAN工事後に、ネットワークパフォーマンスを実機で計測したりしますか?
- 工事の後、電気特性のチェックは業者がやる。
- スループットの試験みたいな琴はしていない (数百人いるオフィスで一つ一つの試験は困難)
- ping は配線ミスみたいなのがあったのでやりましょうと言われ仕方なく…全部やるのは大変なのでサンプリングで。
- 無線LANの場合もスループットよりは電波強度チェックくらいまで。
-
Q. オフィス配線、ラックからローゼット立ち上げ。ローゼットそのものにCisco Cat29使ってたんだけど、どういうものを使っている?
- スライドにあるローゼットはLAN部材で電気的特性を持たない。Panduitのローゼットをよく使っている。
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- 自分がやる場合、床下はLAN部材でスイッチとかは上に。ほこり対策でシャッター付きのものを。
-
Q.床下ではLANケーブルの束と電源のケーブル用の床下コンセントは離したほうがいいのですか?
- A.離した方がいいです!
おまけ
- ローゼット
- フロア側(パーマネントエリア)でケーブルをRJ45メスで整端するLAN工事部材です。
- RJ45コネクタ
- への字が爪が壊れなくてよいです
- パッチパネル
- ラック内でケーブルをRJ45メスで整端するLAN工事部材です。DC等ではアングルタイプ(Vの字)もあり、パッチパネルからケーブルを左右にケーブリングすることができる部材です。Vの字の分、ラックの奥行きや扉との有効距離に注意が必要です。
- 島HUB
- お薦めはAuto-MDI/MDI-Xを有効・無効に設定できるものです。また、ファンレスであればなおよしです。ループガードがあれば良いというコメントもありましたが、ループ障害はひとつの機能・一箇所での対応でどうにかできるものでは無いので、末端での対処と合わせて上位のスイッチでのループ防止設定で幾重にも対応が必要です。
- LANケーブルロック
- 勝手にケーブルを抜いたりする人がいるオフィスにはコレが有効です。
- モジュラージャックガード
- 勝手にスイッチやハブ、ローゼットにケーブルをつなぐ人がいるオフィスにはコレが有効です。