ストレージネットワーク(SAN)入門
登壇者:@ban さん
ストレージネットワークとは?
- サーバとストレージをつなぐネットワーク
そもそもストレージとは
- データを格納・記録するためのデバイス (例:HDD、SSD、DVD、SDカード、LTO)
- ストレージはコンピュータの要素の一つ
データに根源的な価値がある
取り出して活用できてこそ価値がある。
ストレージへのアクセスで求められるもの
- 高信頼性(データ整合性、エラー検出)
- 高速・広帯域(データの大容量化)
- 低遅延
データアクセス方法について
ブロックアクセス
- ある一定の大きさの単位「ブロック」でデータの読み書きを行う
- ブロックの大きさはデバイスごとに決まっている
- ディレクトリ/ファイルなどを直接操作できない
- 複数のコンピュータからは直接アクセスはできない (データにアクセスする帯域を占有できる)
- フォーマットやデフラグという操作が必要
ファイルアクセス
- ディレクトリやファイルをデータ単位として操作する仕組み
- 人間にもわかりやすい単位( [B] {kB} {MB} [GB] )
- ファイルシステム(OS)を介す必要があり、低速
(OSがブロックアクセスに変換する処理をするため) - ファイルやディレクトリ単位での制御が可能
- 複数のコンピュータから同時にアクセス可能
- フォーマットやデフラグはできない。
- OSに依存しない(例:SMB,NFS,CIFS)
コンピュータとストレージ接続の変遷
従来のストレージ接続
- コンピュータとストレージを直接接続(DAS:Direct Attached Storage)( 例:パラレルSCSI接続、IDE(パラレルATA / PATA)
- パラレルアーキテクチャの性能/距離の限界 → ファイバチャネル で距離を伸ばす
- ファイバチャネルによるデバイス間でのストレージ共有 → SANの始まり
ストレージ接続形態
一般的にSANはブロックストレージ(FC)を指すことが多い。
本来はストレージのネットワークのため、NASを含む場合もある。
DAS (Direct Attached Storage)
- サーバとストレージを直接接続
- ケーブル接続が、サーバとストレージの関係を紐づける。
- サーバが接続したストレージを占有する
- ケーブルの規格により、接続できる距離の上限がある
- 光ファイバーケーブルで距離を延長することも可能(FC Direct Attach)
<接続形態>
内蔵ストレージ (SAS,SATA,NVMe,etc)
外部ストレージ (SAS,SATA,USB,etc)
SAN (Storage Area Network)
FC-SAN(FCストレージ)(Fiber Channelプロトコル)
- ストレージの共有を行うための専用設計
- サーバ・ストレージ間通信に特化した仕組み
- 信頼性、拡張性、I/O性能を確保
- 低遅延、順序保証、ロスレス転送、冗長ファブリックで配信を保証
- サーバからは、LANとSANのケーブルを配線
IP-SAN(IPストレージ) (iSCSI,NAS(CIFS/NFS))
- どこにでもあるイーサネットとTCP/IPを活用した仕組み
- 汎用(業務用)ネットワークと共用できる
- LANのスキルセットで、ネットワークを構築できる
- 懸念点 : LANとSANが混在した状態で、性能目標を達成できるか
iSCSIとNASの違い(IP-SAN)
- iSCSIの場合は、ブロックレベルアクセス
- NASの場合は、ファイルレベルアクセス
- NASはアプリケーションレベルで制御できるため、柔軟性は抜群
- iSCSIはNASに比べるとオーバーヘッドが低い。でもTCPセッションは張る必要がある。
FCoE(Fibre Channel over Ethernet )
- ファイバーチャネル(FC)のプロトコルを、 10ギガビット・イーサネット上で使えるようにする規格
- TCPセッションの負荷を下げたいので低レイヤー(L2レベル)で信頼性を確保して、負荷を減らす方式がFCoE
- ただし、信頼性をL2レベルで確保するために、カード、スイッチはどちらもFCoE対象機器(DCB)が必要
- iSCSIの場合は、TCPセッションで信頼性を確保する。高速な通信ではオーバーヘッドが大きい
LANとSANの違い
“Network”の意味の違い
LANのNetwork
- 異なるデバイス間でのコミュニケーション
- 多種多様なデバイスやアプリケーション間で通信するためのネットワーク( Web, Mail, VoIP・・・)
SANのNetwork
- 経路の共同利用
- サーバ(OS)から見た通信対象はストレージのみ
- インターフェイスをスイッチで統合
- 1対1で接続するDAS環境の集合体
冗長構成の違い
LANの冗長化
- 2重化された機器は全て接続しておく - スイッチの先の経路が切断しても、サーバは認識できない。
SANの冗長化
- 物理的に独立した複数の経路を用意する
- 経路が切れた場合、マルチパスドライバで経路を切り換える
- SANはサーバとストレージを直結している経路
(まとめ)ストレージシステムの全体概要
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SANは、サーバとストレージの間を接続するネットワーク
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ストレージアクセスは、高信頼性、広帯域、低遅延が必要
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OSから見たら、ブロックストレージは全てDAS接続(結局は1対1)